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5、残る。



だがそれを「感じる」というのは、ただそれだけのことであって、人間は五感でいつも何かを感じ続けている。にもかかわらず、それが思いだされないのは、それがたいてい、どうでもよい特にかかわる必要がない、なんの意味もないことがほとんどだからである。

感じるというのが自分にとってなにか意味を持つのは、それがカタチとして記憶の中にある場合だけである。何かを思い出すのは、カタチを通して思いだすのである。カタチなき何かを思い出すことは出来ないのである。

だから意味あることはカタチとして、例えば物語や神話として、あるいは歌として残るのである。そうとしか記憶に「残る」ということが出来ないのである。それ以外に「残る」ということがないのである。あるいは何かが「残る」という場合、残る「もの」がなければ残りようがないのである。


 戻る。              続く。

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