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例えば、日本的な「潔(いさぎよ)さ」という気質は、地震、台風、そして火災に対して燃えやすい密集した日本の家屋の構造と深く関係している。そうした、予測できない突発的で壊滅的な脅威が年中行事のように毎年やってくる。 それは人間の力ではどうにもならない自然の猛威であって、それに対しては、人間はなすすべもなく、なされるがままなのであるが、そうしたゼロの状態から抜け出すためには、だれもがみな過去のいさかいや言いがかりや因縁を捨てて、だれもが同じゼロから始めるしかないのであって、これが「潔(いさぎ)い」という気質である。そうするしかないのである。そうならざるを得ないのである。 このような、はかり知れない天変地異の災難に際しても、だれもが秩序整然としている。外国人から見ると、実に不思議な光景なのだそうだが、こうした事態、こうした災難は、日本ではほとんど恒例の年中行事なのである。いや、「ほとんど」というよりも通常の日常なのである。 |
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