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7、いさぎよい。



それは秩序正しく落ち着いているというよりも、慣れきっているのである。すべてをあきらめて心を無にして、誰もがいさぎよく整然と次の作業に進むのである。そうするしかないのである。ずっと昔からそうなのである。そうやって数千数万を年生きてきたのである。

またそれは、島国という日本の歴史的・地理的条件とも深く関係している。泣いても笑ってもこの閉じた島の中で生きて行くしかないのであって、ここに生きるだれもがみな、先祖代々昔から同じ場所で同じ子孫が同じ村の共同体の農耕という共同作業をしてきたのであり、そうやって自分たちの生存の糧を得て来たのである。

そうである以上こうした現実を空間的にも歴史的にも破壊でない。それは自分たちの存立の条件を失ってしまう。だからまた、この共同体の中で争いやいざこざを起こせないのである。恨みつらみを抱いたまま同じ子孫が同じ場所で同じように生きて行くなどできないである。つまり「いさぎよく」ならざるを得ないのである。


戻る。            続く。

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