index < 日誌 < 夢の中、<18-60 「続)背景色」 |
始まりのそれは、見えるとか見えない以前の何もない状態である。それは区別のない識別もできない世界である。自分が見えず、見つからず、他人との区別のない世界である。だから、夢の中の背景の色は、真っ暗にほんの少し白がまじった、淡くて暗い灰色なのである。 別の言い方をすると、この濃淡というのが目にとってもっともリラックスした状態の色だということである。目には確かに見えているのであるが、それが目にもっとも優しく負担の少ない色、ほとんど眠っているようなそうした明るさ。それがつまり、暗い灰色なのである。 やっと意識できる最小限の明るさである。目を開けているのでも閉じているのでもない、あるいは眠っているのでも覚めているのでもない、そうした世界の色が「暗い灰色」の世界なのである。 これを現実の世界にたとえるなら、月夜の世界である。明るさといい、そのカゲもそうである。そして遠景がまったく見えず無視されている。自分の都合と思い込みだけで世界を見ている。あるいは、自分の都合にないものは何も見えない世界であるい。 真っ白な光の明るさは、目が覚めてしまう。かといって真っ暗は意識そのものがない世界である。真っ黒だと何も感じず、確められず、自分がだれなのかも分からなくなる。自分と他人の区別が見えない世界である。だから白でも黒でもなく、「濃い灰色」なのである。 |
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