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この暗い灰色の中から何かが見えてくるためには、それ以前に他の色が必要である。もっとも負担が少なくシンプルでかんたんな色、それでいて正確に姿を確められる色。 個性が消えて色がなくなった明るさだけの色、それが明るい「灰色」である。だからまた、その背景は「濃い灰色」なのである。それ以外にないのである。 だから夢の中はたいてい色のない、そして薄暗いほのかな明るさだけの世界なのである。人が落とす影がなく足元も消えている。夢の中では見る必要のないものは、見えてこないのである。それは非現実の観念だけの世界だからである。それが気持ち悪く思えて来るのは、まさしくそれが非現実的な世界だからである。 夢の中、自己の観念だけの世界から、なにかが形や姿となって現れてくる。なにもないところから突然でてくるのではない。なにも無いはずなのに何かを予感させ暗示するような、予兆が感じられてくるのである。 というよりも、それは自分自身が心の中のどこかで求めていたものか、それとも、無意識のうちに感覚がそれ自体として何かを感じていて、それが不可解な理解不能な映像として、夢の中に映しだされているのである。自分でもそれがなぜそうなるのか、それが何のかわからないのである。 意識とか思考の届かない、純粋な感覚器官だけの世界なのである。感覚が感覚器官だけで、意識を無視して何かワケのわからない映像を浮かび上がらせているのである。あるいは、意識の届くことのない無意識の世界である。 |
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