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だがしかし、これが「夢の中」だとすれば、話はまったく違ってくる。肉体は眠っていて、意識だけが活発に活動している状態である。意識は、自分が肉体から分離してしまったと思い込んで、様々なものに乗り移る。 自分自身が風景の背景になっていたり、目の前のウサギや犬になっていたり、その周りを包んでいる空気になっていたりもする。あるいはまた、夢の中で話をしている相手が、いつのまにか自分に変わっていたりもするのである。 要するに、自分と他人との区別がなくなる。自分というのが誰にでもなれるし、何にでもなれる。そしてまた、そうやって自分が誰なのかわからなくなるのである。それはつまり、夢の中というのは、自分の思い込みという主観だけが支配する世界なのである。 だからまた、本当の自分、真実の自分というのは「夢」から出て、自分の外の現実の世界に求めなければならないのである。だから自分というのは外の世界に出てゆくしかなく、自分の外へと追い出されてゆくのである。そうして初めて現実の自分というのが見えてくるのである。本当の自分というのは、他人の目を通してしか見えてこないのである。 しかし、そうは言ってもこうした考えは、「考え」なのであって、現実は少し異なる。人間の脳ミソの中の観念の世界と、実際の現実とは少し異なるのである。現実は言葉ではなくて感覚である。観念ではなくて行為なのである。 |
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