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4、アイデンティティー。



そしてまた、文明の原理が違うということは、それが未知の異界、自分にとっては外の世界だということである。そうである限り、本当の自分は見えてこないだろうということである。

外へ出て、自分とは別の異質な文明から自分を問い直してみる必要があるのである。そうやって、いままで知ることのなかった別の自分というのが見えてくるのである。自分が生きている文明も、その原理や必然性もわかってくる。

別の角度から他人の目で見ることが出来るようになる。自分を他人の目で見ている。当事者でなくてヨソ者、ソトノヒトの立場で見ている。自分が生きている現実を外の異界から眺めている。当事者でなく他人として、第三者として客観的な立場から見ている。そうならざるを得ないのである。

言いかえると、自己の理由やアイデンティティーといったものは、常に変化にさらされ、脅かされているのであって、それは文化として他人から与えられるものでも、生まれつきのものでもなく、自分で獲得してゆくしかないものなのである。


戻る。               続く。

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