index < 日誌 <怪談、<18-65 「目の中」 |
以上が、目を閉じたときに見えてくる観念的なイメージの世界である。目を閉じているとき実際には、はっきりと見えていないにもかかわらず、空想の世界でなにかのイメージとして思い込んで見ているのである。 目の中の偶然の不具合やノイズに何かを感じて、そのように思い込んでいるのである。あるいは思い込もうとしているのである。そうではないか、そうであるはずとか、そうかも知れない、それしかない、そうでなければならない・・・・・等々と勝手に思い込んでいるのである。 そうしたことが、くらがりや、ものかげや、夜の薄暗い月明かりの下や、ぼんやりした、とりとめのない観念の世界で、意識が勝手にイメージして思い込み、想像して見ているのである。現実でない、自分の目の中の感覚の世界で勝手にイメージして想像し、そして「見た」と思い込んでいるのである。 しかし、幻覚とも違う。意識の世界の中で、いままで自分が生きてきて経験し記憶してきたものが、直感として思いだされ呼び覚まされて、何かのそれらしき記憶のカケラ・断片として思い出されて来ているのである。自分でも意識されることのない無意識の記憶の世界。今では忘れ去られた、肉体の感覚としてだけ残っている、そうした記憶の痕跡である。 そしてもちろん、それが何かというのが自分でも全くわからないのである。それでも、それが何かとっても大事なことのように思えてきて、それらしき影や気配におびえ、恐れおののき、困惑し、そして意識がそれに過大に反応しているのである。そうしたことが、自分自身の観念の世界のなかで、無限に拡大・誇張されて現れてきているのである。 |
index < 日誌 <怪談、<18-65 「目の中」