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アイドルの女の顔から見えてくるのは、そうしたケジメのない、あいまいでぼんやりした世界なのである。なにもかもがボヤけてかすんだ、まるで霧の中の世界なのである。なにひとつ確かなことが見えないのである。だれもかもが自分の考えを持たない世界では、それは仕方のないことなのである。 欲しいものは、たいてい何でも手に入る。悩みがあれば、だれかが聞いてくれる。困ったときは、周りのものがだれかれみさかいなく、だれもがなんとか助けてくれる。 食べ物がなくて死ぬなどということは誰も思わない。そんなことはフツー、絶対にあり得ないことと思い込んでいる。なにもかもが誤解と妄想と迷信だけで成り立っている。日本は閉じた島国なのである。そうした空想と迷信が成り立つ世界なのである。現実世界から閉じて隔離された世界なのである。 アイドルに見る若い女の年齢の割にあまりにおさない、あのあどけない顔の表情には、こうした「平和ボケ日本」が生み出した時代の「あだ花」が映しだされている。 (*あだ花とは、実を結ばない花のこと) |
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