index < 日誌 <u. 日本。<18-75「条件」 |
もう一つ注目すべきことは、自己の同一性すなわち自己の一体性と連続性の問題である。島という海で閉ざされた歴史的・地理的現実というのは、自己が同一であるという現実の条件となっている。それ以外のものになれないのである。観念的な歴史の上からも、また現実的な物的空間的事実からいってもそうである。この現実的な地理的空間を離れたところに自意識は存在し得ないのである。 歴史の上でも他民族の大規模な流入または侵攻はなかったし、これからもありそうにない。そして、そうしたことが民族としての自己の同一性の歴史的・自然的な根拠となっている。 また地政学的にも、そして島という物理的空間の制約から言っても、他国・他民族の延長ないし属国とはなりがたい存在である。属国に出来るような自然的・地理的条件が日本にはないのである。 日本人は日本人にしかなれないのである。これが「島」という閉じた歴史的・地理的条件がもたらした現実なのである。それ以外にはなれないということである。 |