index < 日誌 < v 夢の中。<18-78「人影」 |
閉じた目の中で見ている雲模様の、その輪郭線の人影への移行は、そうした自己意識の分離してゆく過程を表現している。それは自分自身というのが、肉体の現実から観念の空想世界へと移行する過程を現している。そうして、いやがうえにも自分というのが見せつけられ、意識され、自覚させられる。まったく困ったものだ。 夢の中の人影の「目」が見えず、そのためにそれが誰なのかいつも確かめられずにいるというのは、その人影の正体といったものが、結局のところ、誰でもよく、そして誰にでもあるという意味なのである。誰かでなくて、どこにでもあるという意味なのである。 それは、つまり、自己の精神の象徴なのであって、そしてそれがまた、「不安」を意味しているとすると、だれでもない人間精神そのものを表現していると言える。 |