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9、暗示。



現実に無いものを見たと思い込もうとしたり、あるいは、なにかのシルエットをむりやり他のイメージと結びつけようとしたり、それとか、どこにでもある、どうでもよいものを、なにか自分のなかのイメージと結びつけて、その意味するところのものを、まったく取り違えてしまうといったことが頻繁に起きてしまう。

総じて言えば、自分が持っている感覚とか考え方といったものが、どこか現実とズレていてヌケている。どこか異質であるということである。現実について行けない。現実と相性が悪いのである。

また、現実にないものが見えてくる。というのは、妄想でも幻覚でもなくて、現実に見えているどうでもよい、ありきたりのものが、何か他のものと関連付けられて、それを象徴するものとして、またそれを暗示し予感させるものとして見えてくる、ということである。

現実に見ているものから、それとはまったく別のものを連想し、予感し、意識し、そしてそのなかに、論理の必然性を見ているのである。言いかえれば、神ないし悪霊を見ているのである。何かが暗示され、示唆されているのである。自分自身がいやおうなく、何かへと導かれている。まるで自分には、それしかないように。


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