index < 日誌 < 2018 < 9-「種の根源」


 
2、輪郭。



「線」がぼやけてくると、線が線でなくなってくる。途切れ途切れになり、はがれて、めくれて、細かな線分に分解されていって、そしてそれがまたバラバラで限りない無数の不規則な「点」に分解さて行く。

そしてその「点」すらも見えなくなってゆく。ぼやけた画面の中で何もかもが、うすぼんやりとまどろみ消えてゆく。そうした何か得体の知れない、正体不明のわけの分からない世界である。

「線」が線でなくなっている。線の輪郭が薄くなり、そして太くヨコに広がっていって周りを飲み込み、そして面となり、そしてまた周りになじんで溶けていって、消えている。

線だけでなく、線で囲まれた輪郭の表面の模様といったものも、また、周りになじんで溶けて薄くなって消えている。何もかもが浸食され溶けていって広がり同化してゆく。内部と表面、内と外、自己と他者といったものの区別がなくなっている。もはや、何もかもがどうでもよく、また、どうにもならないことのように思えてくる。

それらの間を区別するものは何もなく、そうしたおぼろげで、ぼやけてとらえどころのない、ぼやけたままで移り行くだけの、色や明暗のうすぼんやりした変化の、無秩序で気まぐれな偶然だけが支配する、とらえどころのない世界である。


 戻る。              続く。



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