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3、下地。

空気は、普通の日常的には、意識することも気づくこともほとんどないのであるが、他の感覚や感じ方とは根本的に異なるのは、それが直接、自分自身の身体のなかに入って来るということである。そしてそれが感覚器官を通してではなく、自分自身の肉体内部での相互作用として伝わってきて、それが何らかの意識されざる記憶や情緒と結びついている、ということである。

そしてそうしたことが、無限に繰り返されてきていて、堆積していて、それ自体が情緒の下地や背景になっていて、生活の中のクセや習性、馴れや習慣のなかに入って来ているということである。理由なき感情や情緒のリズムとして保存されていて、言い知れぬ訳のわからない感情の起伏として感じられてくるということである。

なにかを思い出そうとしているのであるが、その理由も訳も分からずに、現実の出来事や経験とは関係のないところで、それとは別のところで、別のものとして、それ以前の根源的なものとして自分を支配し方向づけているのである。そうして何かを思い出させようとしているのである。


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