index< 日誌 < y肉体 < 19-007「続、空気」p7- |
しかし、それは錯覚なのであって、それは外の現実に映し出された自分自身のすがたなのである。自分の中にある得体の知れない何かが、外の世界に反射して映し出されているのである。 そしてそれを自分ではないものとして勘違いしているのである。鏡に映し出された自分を見て、それを他人だと勘違いしているのである。 だからそれが、自分のことなのに、見知らぬ他人の気配いのように感じられてくるのである。それは自分が映し出したものなのに、誰か見知らぬ他人のことのように思えてくるのである。 これは偶然の錯覚なのであって、そうして、自分の中でただ一人、自分だけがワケもわからないまま恐れ、おののき、おびえているのである。あるいはまた、歓喜したり、驚いたり、ためらったりしているのである。 |