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そしてまた、そうした心情といったものが日本人の間で大いに共感を呼ぶのである。他人事ではないのである。現実の話として、事実この世界は、空間的にも狭く閉鎖され接近し過ぎている。また、歴史的にも、心理的・内面的にも同質化した閉じた精神世界にあっては、やはりそうするしかないのであって、またそれが、はかなくも美しいことのように思えてくるのである。 このような場合、そうする以外に日本では、人間が生きて行く方法がなかったということである。しかし、今では多少とも様変わりしてはいるが、それでもやはり、そうした痕跡というか、影というか、気質みたいなものがあって、だいたいにおいて、やはりそうなのである。この「ニッポン」という歴史的現実から離れては、だれも生きて行けないのである。 そして、このような生き方・感じ方といったものを運命づけ、定め、決定づけたのが、日本というこの閉じた島の特殊な環境だったのである。この日本という現実の舞台の上で、そうしたことが繰り広げられ、そして繰り返されてきたのである。 歴史的にも空間的にもそうした同じことのくり返しが、そこに住む人々にそれ固有の美意識と感覚を生み出したのである。自分でも意識することのない無意識の習慣や作法として受け継がれてきたのである。それが当然で、そうするしかないものとして。そしてそれだけがごく普通の習わし、習慣や常識として。そしてまた、それが最善だと信じることによってである。 |