index< 日誌 < c信じるもの19-65「異議申立て」


4、自意識。


それはまた同時に、単に収入や生計にかかわる「生命線」だけでなく、むしろそれ以上に、本人自身の自意識に深くかかわる事柄でもあるのである。自分自身の本質でもあり、出発点にもなっている自己認識に関することがらなのである。社会的身分や、自己のアイデンティティー、自分自身の根源的な魂(たましい)に直接かかわることなのである。

だからまた、決して譲り渡すこともできないし、妥協も許されることのない、そうした自分が自分であることの根拠となっているもののことなのである。そしてすべては、ここから始まっていると思えてくるのである。

それは、人間がこの世に生まれた途端、生きて行く上でただ「信じる」しかないものなのである。それは、本人とは無関係に、始めから与えられ定められているものなのである。要するに社会全体が、それに逆らうと生きて行けなく出来ている、ということなのである。

そしてまた、これを「信じる」といったところで、何かどうにかなるというものではないのであるが、それでも、そうしたことと関係なく、ただ信じ続けるしかないものであって、また、信じなければならないものなのである。それが、この社会にとっての暗黙の共有意識となっているのである。ルールであり、無言のオキテとなっているのである。

戻る。                  続く。

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