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2、個人。


このような現実というのは、自分を外(そと)から見ないことには何も見えて来ないのである。だれだって自分自身に疑惑を抱いたり、自分を否定したり、自分の存在そのものに疑いを持つようなことはしないのである。

それは、出来ないことなのである。自分で自分を否定するようなことはしないのである。それは、自分が生きて暮らしている意味そのものを否定しかねないのである。自分の存在そのものを否定しかねないのである。

しかしまた、このような現実の、自分の存在を離れたところからでしか、本当の自分は見えて来ないのである。もっと正確にいうと、自分自身が生きて来た親兄弟、友人、郷土、それに歴史といったもの、総じていまの自分を成り立たせている、そうした自分の存在を離れたところからでしか、本当の自分も、そしてまた、本当の現実というのも見えて来ないのである。

戻る。                  続く。

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