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9、欠落。


すなわち、自分を意識し自覚する自己意識のない世界では、上下の序列と、それらの間の区別と差別こそが不可欠の条件であり、そしてこれこそが、そこで生きる者にとってのアイデンティティーなのである。それだけの、それしかない、そうした世界なのである。

また、そうした世界に生きている限り、そうした自分に疑問を抱くことも、それを不思議に思うといったこともないのである。自分自身の「考え」といったものを、どこまで行っても決して持つことがない、そうした世界なのである。だからまた、これが自己意識の欠落した世界なのである。

しかしまた、そうすることによって、自分というのが社会や集団の中で少しでも有利な立場に立てるし、あるいは少なくとも、一番下の谷底の人間にならずに済むのである。また、現実がそうである以上、日々の暮らしや日常といったものが、少しでも他人よりも上の者になろうと、日々あくせくと働くのである。

戻る。                  続く。

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