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彼は、見捨てられ、追放された人間なのである。だから彼は、自分で自分を新たに創って行くしかないのである。そしてこれが、彼の存在理由であり、彼の存在の必然性になっているのである。彼には、そうする以外にないのである。 そうした道しか彼には残されていないのである。これが彼が生きている現実というものであって、また、このような現実が彼に見えるためには、彼は現実を外から見えていなければならないのである。つまり彼は、現実を外から見ている。 彼は周りの人間と同じ現実を生きているにもかかわらず、彼の精神の内面は、それは内なる異国人、異人種、よそ者、部外者なのである。要するに、外(そと)の人なのである。 そしてこのことが、彼にとっての致し方なく、どうにもならず、どうしようもない、彼自身の存在の理由と必然性になっている。そしてこれが、彼と、彼が生きる世界との「関係」なのである。つまり、精神的な異人種、異界の精神の住人なのである。そしてまた、彼の精神の内的同一性は破壊されようとしているのである。自分が誰なのか分からなくなって、自分で自分に苦しむのである。 |
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