index< 日誌 < p変異 < 20-12「続、可能性」p3-


2、だれ?


あるいはそれ以前に、自分がどこかの民族や国民たることを喪失したことを意味している。自分が「なに者」かであること自体を辞めてしまったことを意味している。帰属する自意識の根源を喪失している。自分が誰なのか分からなくなり、自分自身の根拠と拠り所を見失う。

しかしまた、そうした生き方というのを自分たちの信仰をしている、そうした民族もいるのかも知れない。ロマ族(ジプシー)、それにイスラエル建国以前のユダヤ人がそうではないだろうか。また、だから嫌われたのではないだろうか。

「自分たち」が帰属する民族の領土と国家を持たず、従って「主権」を持たず、さらに積極的に自ら進んでそれを否定して生きている人々である。あるいは、そうした煩(わず)わしいだけの思い込みの体裁を捨てた人々である。もしかすると、そうした人々はいつでもどこでも居るのかも知れない。

日本でも、かつて「山窩(サンカ)」と呼ばれた、民族や国家の囲いの外に生きた人々がいた。あるいは終戦直後の第三国人と呼ばれた人々もそうである。またこのような事例は他にもたくさんある。数え上げるとキリがない。

戻る。                   続く。

index < 日誌 index< 日誌 < p変異 < 20-12「続、可能性」p3-