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いくらどこを探しても、自分というのが見つからなければ、人間は、自分が自分であるという確証を得られず、自分が自分であるということを辞めてしまう。そうする以外にないのである。それ以外の自己の可能性を失ってしまうのである。 あるいは、少なくともそれだけが、ただ一つの残された生きて行く方法となっているのである。そうして自己を尽くし、自分に忠実であろうとするのである。自分が自分であり続けようとするのである。 そしてこの場合、「滅ぶ」ということが、自分にとっての残されたただ一つの意味になっているのである。そうして現実に滅ぶと同時に、それが歴史となって永遠に残り続けるのである。 変化に対して適応するというのは、ある方向に対してのみ適応し得るのだという意味で、それはオリジナルなのであって、そしてまた、それ以外の方向に対しては適応できない、ということを意味しているのである。つまりこれがオリジナルであって、必然性であり、存在の理由なのである。 理由がなくなれば、自分がだれか分からなくなり、自分の現実というのを見失ってしまう。現実の世界に自分が見つけられず、自分の居場所を失い、自分が現実から消えていって、ユーレイのような存在になってしまうのである。 |