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それがもしも変わるとしたら、すなわち、自分が自分でなくなるとしたら、それは自分の終わり・消滅・喪失なのである。だからまた、それはあり得ないことなのである。しかしまた、歴史上の幾多の文明や民族が、こうして消えていったというのも事実なのである。いわば、文明ないし民族という限りある「種」が、どこかで生成されては消滅してきたのである。 しかしまた、このような消滅自体がまた、自分が自分であり続けるということを証明しているのである。自分が生きている現実の世界に、自分の居場所、自分の現実というのがない以上、自分で自分を辞めてしまうのである。そうする以外になかったのである。 自分で自分を尽くして全うして行くのである。そうしてゼロの位置から再度始めるのである。そしてまた、これが変異の条件ともなっているのである。自分がなにか別の者になるしかない、という意味でそうなのである。 ただ、そうするしか無かったのである。だからまた、肉体は滅んでも歴史として残り続ける、といったことが起こるのである。あるいはまた、新たな民族や文明がどこかでまた、生まれては消えて行くのである。そして、生まれるということ自体が、それ以前の滅びの上に成り立つものなのである。 |