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しかしまた、このような自己の境界線こそが、本人にとっての自分と他者を区別する線、すなわち、自己の精神のカタチを示しているのである。 見えるのは現実の世界だけではないのである。人間は、現実の見えるカタチの世界を通して、自分の中のイメージと象徴の世界を見ている。自分自身の中の、自分にしかない自分の感じ方というのを見ている。 自己の精神の中にも世界があって、そうした固有の見え方というのが、自己の精神の領域とそのカタチを表現しているのである。そうして自分で自分の精神のすがたを意識し感じ取っているのである。そしてそれが、直感的なイメージのサインとなって浮かび上がってきているのである。 奇人、変人、異人、あるいは「よそ者」、「そとのひと」、異人種、異国人がそうである。言い換えると、本来、現実に存在するはずのないもの、そうした場違いの人間のことなのである。 しかしまた、存在し得ない者であるにもかかわらず、存在している、存在せざるを得ない。生きている以上、自分から進んで死ぬわけには行かないのである。 |