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自分で自分を辞めるといった場合もある。自殺とか自死という意味ではない。寿命が達した後の自然死という意味でそうなのである。自分というのが、他の者になれないという意味でそうなのである。このようにして、歴史上の数々の文明や民族が消えていったのもそうである。 あるいは、歴史以前の、それよりはるか前、ネアンデルタール人が絶滅していったのもそうである。脳の容積や体格において、現在の人類の先祖となったホモサピエンスよりも優れていたにも関わらず、滅びているのである。 要するに、彼らネアンデルタール人自身が、自分が他の者になるというのを拒んだのである。自分から進んで拒絶したのである。彼らの身体と文化、ライフスタイルといったものが、新しい変化というものを拒(こば)んだのである。ネアンデルタール人自身が、そのようにしかなれなかったのである。ある意味で、それはネアンデルタール人自身が選んだことなのである。 |