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6、現実。


あるいは、古代のギリシャのように、加工しやすい天然の花崗岩が非常に豊かな所では、こうした石材でもって住居や公共の施設をこしらえている。もちろん、こうした石材が耐久性と堅牢さから言えばも最も優れた建築材料である。

要するに、それ以外のものを作ることが出来なかった、ということである。このような条件の下では、それ以外になかった。それ以外に対応のしようがなかった、それしか有り得ず、そうするしかなく、それ以外のものが成り立たない、そういう世界なのである。

これが現実なのである。人間が生きている現実の、物的・客観的条件なのである。人間は、このようなあらかじめ与えられた世界を生きているのである。そしてこれが、人間にとっての現実なのである。

そしてまた、これこそが、人間が自らを現わし表現する現実の舞台なのである。人間は、このような現実の舞台を通してのみ、自分自身のオリジナルな原形と個性といったものを表現し得るのである。

戻る。                    続く。

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