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2、よりどころ。


人間は物的・経済的に、そして肉体的に追い詰められると、あるいは、そうした生命の危険を感じると人間が変わる。しかし、それだけではない。それはキッカケであって、根本的な原因ではないのである。

それ自体が、自己の存在の理由にならないのである。自己の証明にも、根拠にも、拠りどころにもならないのである。人間が何よりも求め、そして必要としているのは、このような自分自身に対する証明なのである。

自分を確かめ、自分を見つめ、そして自分をしっかりとつかみ、これを自分の手で握り締めることではないだろうか。物的・経済的困窮は、確かにその条件ではあるかもしれないが、それ自体が、人間のこうした願いを適えてくれるとは限らないのである。

困窮と貧しさは、それだけを取って見ると、むしろ、人々を結びつけ助け合うキッカケとその基礎になることさえある。そうした生きがいというか、自分たちの存在の拠りどころになっていることさえあるのである。

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