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先の方で述べた、何か暗いものを見ているというのは、それを見ている人間の心の中が同様に暗く感じている、ということである。憂うつで、危険で、わずらわしいということであって、とにかくそうした「暗い」というのを避けたがるのである。こうしたことが、感覚器官の感覚的な暗さと、無意識の世界での感じ方としての「暗さ」の違いなのである。 だから、人間が生きていて、何かを見て聞いて感じたとしても、それは常に二重の意味を持っている。感覚の直接的・物理的な感じ方と、そしてそうしたことが自分の無意識の世界で蓄積されてきた、心情や情緒、および生理の世界での感じ方といったものが、重なり合っているということである。重複し、横断し、無秩序かつ偶然に錯綜し合っているということである。 言い換えれば、このような無意識の世界での感じ方といったものが、あるということである。それは自分でも意識されることのない、生理的な条件反射の世界である。そして人間は、その多くをこの無意識の世界に支配されていて、そして、そこから意識や思考の世界が浮かび上がってきているのである。 |
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