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自分の考えというのを持たず、それどころか自分の考えそのものが、始めから無いのである。他人から無理やりコピーしてきたものを、自分の考えであると勘違いしているのである。そしてそれが自分の自意識であると錯覚しているのである。 だからまた、このような世界では、だれからも支持され求められる理想の人間というは、まず何よりも、何一つ自分で考えることが出来ない、そうした人間なのである。 だれか強そうな他人にすがって生きる、または他人を利用する、あるいは他人をだまして陥れ、それを「踏み台」にして生きて行く、そうした人間がもっとも賢くて優れた人間だと、もてはやされるのである。また、そうやって社会全体が誘導されて行くのである。 つまり、自分の考えも自意識も、そしてより深刻なこととして、自分自身のアイデンティティーを持たない人間が、もっとも求め望まれる人間のモデルとされているのである。自分のアイデンティティーが借り物の自意識でできていて、そして自己意識というのが抜け落ちて喪失している、そうした世界なのである。だからまた、それが、悩みも苦しみもない、理想の幸せな世界であると言えるのである。 |
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