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このような閉じた世界を私たちは生きている。それは、たいてい誰も気づかないし、意識もされないことでもあって、しかし、それでもそれが、うすうす強く感じられることがある。出自を同じくする民族や国民、宗教の同一性といったものがそれである。 どこかで誰もが「自分たち」というのを求めていて、自分もその「自分たち」の一員であろうとしている。そうして、自分で自分を探し求めている。そしてそれを、言語や宗教、習慣や、それに気質や気性といったものに、それを求めているのである。 しかし、このような「自分たち」という意識が、いやおうなく強制的に自覚される場合がある。これが近代国家である。そしてまたこれが、近代以降の民族・国民という自意識のあり方なのである。これは、少なからず意識的で自覚された自分たちという利害関係に基づく集団である。そしてその典型が近代国家なのである。 |
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