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3、存在理由。

そして、このような限界に衝突して行き場を失くした場合、それとはまた別の異なる方向から、人間の意識というのが現れてくる。自分たちが生きている現実の常識や基準といったものが、それまでとは根本的に異なる異質なものになってゆくのである。

そうならざるを得ないのである。なぜなら、それが求められているからである。それなしに、もはや存在し得なくなっているからである。現実がそれを要求しているのである。変化が求められているのである。

現実の世界にいまだ非現実の非常識が入って来て、混じり合って、行き交っている。そうして錯綜し混乱している世界なのである。そしてこれがまた、既存の古い常識の世界で生きいる者にとっては、ワケのわからない、ガマンのならない、許せないことのように思えてくるのである。

なぜなら、それこそが自己の同一性になっているからである。存在理由であり、居場所であり、立場であり、自身の存在の拠りどころになっているからである。自己のステータスであり、アイデンティティーなのである。それは変わってもならず、変えてもならず、また、変えることが出来るものでもないのである。

事実、それは、そうした既存の現実に生きてきた者にとってみれば、自分たちの存在を危うくするものでしかないのである。自分たちの立場と居場所を破壊し、自分たちを生きて行けなくするものでしかないのである。



戻る。                     続く。

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