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そうだ。これは僕が中学生のころ、公衆トイレの中の汚物入れの缶を開いたときだ。アンネがそのまま入っていて、そこに女のマ●拓がリアルに押印されていた。まるで魚拓のようにハッキリ、クッキリ、鮮やかに印しづけられていた。 まるでミミズの拓本のように、タテに2本並んでいて、そしてそれが幾筋もの横シワで深く区切られていた。ぼくは興奮し、たまげて、おどろき、そして不思議でもあり、そしてとってもいやらしく、底なしに不気味なもののように思えた。 ぼくは自分に何かを問いかけている。これは心の中に巣食っているなにか得体の知れない生き物だ。それがアンネに乗り移って僕に迫ろうとしている。そしてそれが現実の世界を無視して、直接ぼくに迫ってきて何かを求めている。これはぼく自身そのものの何かだ。 それがぼく自身のなにかであることだけは確かなのであるが、はたしてそれが何なのか知りようがないのである。だからまた、それがイヤラしく不気味でもあり、そしてまたいつまでも忘れることが出来ずにいたのである。 |
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