index< 日誌 < z自意識 < 20-62「理由」 |
社会にとっての、このような強制力を現代風に言うと、それが元請け下請けの関係であり、上司と部下の関係であり、お客様とカイシャとの関係である。社会を支配するこのような絶対的関係を文学的に表現すると、「私は、人様によって生かされている」という格言がそうなのである。それは、どこまで行っても当事者としての主体たる本人が現れることがない世界なのである。現れてはならない世界なのである。 これは人生訓や処世術のことを言っているのではない。これは、日本という現実にあっては、経済と文化、そして社会の成り立ちのことを言っているのである。大昔からそうであり、いまもそうであり、これからもそうであり続けるであろう、ここで生きる者にとっての正義と信仰のことを言っているのである。 そしてまた、ここで生きる者にとっての根源的な自意識、自己の内的同一性のことを言っているのである。アイデンティティーであり、存在理由のことを言っているのである。それはオキテであり、そして自分たちが信じるところのもの、自分たち一人ひとりの意識の成り立ちのことを言っているのである。要するに、これからもずっとそうであり続けるし、また、そうでなければならないことを言っているのである。 |