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14、感情。


経験が記憶になって、やがてそれすらも忘れられていって、その痕跡としての生理や神経の作用だけが残っているのである。そしてこのような肉体内部の作用の痕跡が、かつての失われた記憶を呼び起こしたいるのである。

それは実際にあった出来事の記憶としてではなく、そうした生理の作用の一つの形式として思い出されているのである。事実が失われて、その生理作用の感じ方だけが残っているのである。

だからまた、それがいったい何のことなのか自分でも分からないし、ただそれが、うれしい、楽しい、つらい、苦しいといった、理由がハッキリわからない意味不明な感情としてだけ、思い出されているのである。

事実が忘れられて、何かしらの意味不明な記憶の痕跡だけが残っているのである。意味不明な自分の中の生理の作用に、自分自身が戸惑い、迷い、ためらっているのである。そして、自分自身がその理由を求められているのである。


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