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2、暗示。


だからそれは、歴史的事実とは異なるものなのである。むしろ、そんな事実におかまいなく、また、直接の関係がないものなのであって、だからまた、妄想や空想の世界なのであって、妄想としてしか表現できないものだったのである。なぜなら、それは現実から出発しながらも、現実とは別の世界を表現しようとしているからである。

自分自身の記憶の世界のなかで、かつて経験された記憶のカケラや、支離滅裂でなんら脈絡がなく、得体の知れない途切れ途切れな印象の名残りや、その影や暗示として、そうした正体不明な象徴やサインなどとして表わされてきたのである。

わけの分からない、このような無意味であるはずの、過去の記憶の痕跡とでもいったものが、なぜにこうまでも歴史に残り、時間の経過にもかかわらず伝えられ、印象や暗示として残り続けたのか? あるいは、なにかしらの脈絡のない物語として、今も夢の中に出て来るのだろうか?


戻る。                         続く。

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