――イメージをカタチに(・Image)――
index(索引)concept(概念)日誌2010-1005-b  市



カニのデッサン。


図書館から借りた本からコピー、出所不明。

カニのスケッチがリアルだ。

荒っぽい雑な直線的なタッチで、
何度も輪郭を描いている。
幾重にも輪郭が重なった、
揺れるような線が、
まるでカニが動いているような、
迫って来るような感じを受ける。
記憶していたカニの印象がよみがえる。
全く、気色悪いだけの印象…。

このような印象は、
実際のカニの姿(すがた)とは異なるものだ。
僕の記憶の中で生きていた、カニのイメージだ。
そして、このほうがもっと気持ち悪い。
それは、脳ミソの中だけで作り上げた、
実体のない空想の生き物だからだ。

「実体」がない。
だから、疑いだすと底なしになる。
後戻り出来なくなり、出口を見失う。
だから、記録し続けなければならない。
描き、デッサンし、発掘しなければならない。
見えないものを、探し続けることになる。。

それは自分自身の記憶の世界なのだ。
ないものをさがしている。
スケッチの輪郭線には、それがよく現れている。
空想と現実をつなぐ、か細い線。
記憶と現実との間にあって、
現れては消える蜃気楼のようなもの。
魂の奥底、闇のかなたにあって、
一瞬ふっと照らし出された自己の痕跡。
そうした夢の感触が描かれている。




 戻る。                  続く。

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