――イメージをカタチに(・Image)――
index(索引)concept(概念)日誌2011-0102-d  市


「ほほ笑み」、A             
<ほほ笑み>

そこに描かれている女は、
たいてい首をかしげているか、頭を垂れている。
女だけでなく、庭の草花もそうだ。
山や岩、あるいは波の形もそうだ。

どことなく哀れで物悲しく、
静かな侘(わび)しさをたたえている。
それは、着物の襟や裾の輪郭線、
そしてその襞(ひだ)にも現れている。
絵の中の曲線で描かれた部分が、
おしなべてみなそのように思えて来る。
そしてそれが、際限なくカワイイ。
けなげでいじらしく、はかなく漂う。
果てしなく、いとおしくなって来て、夢中になってしまう。
何もかも見えなくなってしまうほどだ。

それらが千年の時を隔てて、問いかけて来る。
痛み変色し剥がれかけたキャンパスの奥から。
忘れられた精神の内奥でささやく、
失われた魂の息づかいとして。



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