――イメージをカタチに(・Image)――
index(索引)<concept(概念)<日誌<2011-1005-5-2 市
春のデッサン、 D-2 <さ迷う色。> 影のない世界は、簡単に説明できる。 世界を照らし出している、光の質の問題なのだ。 要するに、直射光(直接光)がなくて、 乱反射光(間接光)のみで照らされている世界なのである。 春の早朝は明るい。 にもかかわらず、早朝の太陽はまだ地平線下にあるので、 太陽が風景を直接照らしすことはない。 太陽と地上との間の、大気に反射した光(間接光)だけで、 風景を照らしているのである。 だから、光は大気と地上の間で乱反射を繰り返し、 すべての角度から均一に物体を照らしだす。 例えば、地面からも物体に対して光を反射している。 だから、地面に物体の「影」が落とされることはない。 さらにまた、全ての角度から均一に、光が物体に向うので、 まるで、それぞれの物体から外へ向って、 光を照らしているように見えてくる。 風景そのものが、光の源のように思えて来る。 風景を構成する、全ての物体がそうなのである。 山も空も、草や木も花も。 地上の、全風景が僕を照らし、 そして、僕の魂をのぞきこむ。 だから不思議な印象を受ける。 一瞬、時間が止まり、 空間が静止してしまったかのように思えてくる。 ふと気が付くと、まばたきする瞬間に、時間を超えて、 他の異空間を通り過ぎて来たような錯覚を覚える。 何かが違う。 まるで夢の中の世界のように、何かが抜けていて、 夢と現実の間をさ迷っている。 |