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index(索引)concept(概念)日誌2011-1005-7-1  市



春のデッサン、 F-1 <夜明けの色。>




春の早朝。
公園のベンチや地際の草々、
あるいは車のボンネットなどを、
朝露
(つゆ)がべっとりと濡らしている。
他の季節では、あまり見かけない光景である。

夜半の気温の低下によって、
しぼり出された大気中の水分が、
地表面に雫(しずく)となって押し出されたものである。
それがまた、太陽の光によって暖められ蒸発して、
浅い霧(キリ)となり、朝モヤになっている。

そして、この白いモヤ(靄)が、
地際から空全体を覆っている。
それが風景全体を、
白い、曇りガラスの中に閉じ込めたような感じにしている。
このような直射光の無い世界では、
影というのがなくて、
太陽の位置から本能的に感じる、
時間の感覚というのを見失う。

キリでかすんでぼんやりした、朦朧とした風景。
この光には影がなくて、
地上からは、時間が消えてしまった。
曇りガラスの中の、光の世界に迷い込んでしまった、
そんな想いである。


 戻る。                  続く。





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