――イメージをカタチに(・Image)――
index(索引)<concept(概念)<日誌<2011-1007-3 市
四季のデッサン、 B <晩夏の記憶> 晩夏の、夕焼けの中に見る風景は、 輪郭だけが、うすぼんやりと浮かんでいて、 その表面は、ほとんどぼやけている。 それはまるで、記憶の世界のようで、 不思議な気持ちになってくる。 記憶とは、頭の中のイメージではなくて、 自分の肉体のことである。 初めに何かの事情があって、 ほとんど偶然のなりゆきから、動き、触れ、感じる。 これに感情が加わって、 それが、無意識のうちに肉体に記憶される。 あとから、それに「理由」が付け加わることもある。 頭ではなくて、 自分の肉体が直接それを知るのである。 それが、肉体のどこかに記憶されていて、 何かのキッカケで、フ〜ッとよみがえるのである。 言い知れぬ自己の痕跡として。 理屈ではなくて、 何とも言いようのない、生きた直感として。 しかし、それがいったい何なのか、 自分でも、よくわからないのである。 だから、訳もわからず当惑して、 何をしたらよいのかわからず、 ただ茫然として、めまいがしてくる。 ……、自分は一体、誰なのかと。 |