――イメージをカタチに(・Image)――
index(索引)<concept(概念)<日誌<2011-1018-2 市
異文化、A <未知のシステム>
旅人が見知らぬ土地で、異なる習慣に戸惑いながら迷う。 自分は、いったいどうしらよいのかと。 そこで旅人は、当地の習慣を見習いながら行動する。 しかしながら、彼の意識は、 この見知らぬ現実とは、本来別の世界のものなのである。 彼には、この現実というものが、 別の世界からでしか見えないのである。 彼の意識と人格は、この現実を生きているにもかかわらず、 別世界の住人なのである。にもかかわらず、 この現実を生きているかのように行動する。 もしも、見知らぬ人が、彼の心の中をのぞきこんだら、 その不気味で不思議な光景に唖然とするに違いない。 彼の心の中には、 本来あるはずのものが、何もないのである! それどころか、得体の知れない正体不明の何かが、 それに入れ替わって、巣をこしらえている。 しかしこれこそが、彼の正体であり、 彼の本質だったのである! そしてそれこそは、彼がその祖先から受け継いだ、 彼の文化の精華だったのである。 それは、日常の世界では見えないし、 仮に、見えているとしても、 普通には何の事か、誰にもわからないのである。 見えているとは、自覚されないのである。 そうして忘れられ、それがごく普通の風景となって、 当たり前の常識となる。 何かとっても大切なものが、失われてゆく。 それが見えないのは、 自分の中で、それを反射して映し出す、 何かが、無いからである。 それが欠落している、というのではなくて、 それ以前の、そもそもの初めから、 何もないから、不思議に感じることも、 理解に苦しむということも、 ないという状態である。 |