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――イメージをカタチに(・Image)――
index(索引)<concept(概念)<ルネサンスへ<2012-0317-2 市
この場合でいう「音」とは、 むしろ、呼吸する触覚に近いものだった。 耳ではなくて、 自分の心臓が直接、それに触れて軋(きし)んでいる感じである。 そんな、呼吸する精神の息吹き。 鼓動する心臓のリズムといったものである。 自分の中で、忘れられていた何かが、 目覚めようとしているのである。 それは、自分ではどうにもならない、 制御不能な感覚である。 それは、私自身という個体を超えたところにある、 個性とか人格を超えた世界である。 吹奏楽器を吹く奏者の、吐く息の感じはどうだろう? その呼吸のリズムに、僕の心臓が共鳴し呼応しているのである。 それは、自分ではどうにもならない、 持って生まれた感性なのである。 僕自身のカラダ(肉体)が、そのように出来ているのである。 無意識の中にあって、捉えどころのない、 肉体の記憶がそれに反応しているのである。 それは、数百数千年に渡って堆積してきた、 民族文化の記憶なのであって、 この文化の基底を成している、 無意識の世界の実体なのである。 自分ではどうにもならないとは、このことなのである。 |