――イメージをカタチに(・Image)――
index(索引)concept(概念)ルネサンスへ2012-0509-3  市



春かすみ、 B<虚ろ>。



「形」は、見る角度によって、
見え方が変わることがあるが、
形そのものが変わる、ということはない。
しかし、「色」は変わる。
形の中から、色が次々に現れて変化してゆく。
ちょうど形は、何かが入っている箱のようなもので、
そこから、次々といろんな色が出てくるのである。

もともと何も無いのに、まるで幻のように。
様々な色となって、現れては消えてゆく。
そしてこの「色」そのものに実体はないのである。
このような虚ろな現実、幻のような世界……。
世界が、まるですりガラスのようにかすんで見えて、
そのかすみの中で自分自身を確かめようとしている。

春の日のうららかな陽気と、ここちよい湿度。
固く閉じていたつぼみが開き、
草花や新緑の枝葉が外へ、光を求めて空中へ向かう。
そうした植物の姿や形、そして色までも。
それは、生まれ出る生命の色である。
初めて外気に触れる、生まれたての、
未だ色も形もハッキリ知らない、そんな世界。
暖かく柔らかい春の空気が、優しく肌を包む。
そんな肌触り、そしてその匂い。
それらが重なり合って、
心理的にも感情的にも一層、穏やかな感じなのである。





 戻る。                    続く。



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