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神話(又は悪霊)の起源。



世界というのを、歴史的に見て初めて、
ものごとの内的関連性といったものが、見えてくる。
そしてそれの、抽象化された本質といったものも、
理解できることになる。

反対に、このような抽象化されることのない、
意識の中にあっては、歴史は不要であり、
興味のない、どうでもよいことになってしまう。
時間の流れ、過去と現在といったものは、
何の因果関係も、
何のつながりもないものになってしまう。
だから、歴史というのは存在しない。
自らの歴史を記録するということは、
このような、抽象化する能力を待って、
初めて可能となるのである。

原始家族や氏族といった、
社会としての共同体が形成され、
その全体としての意志と、
共有意識の必要が生まれたとき、それは、
目に見えないものをつかもうとする、祈りであって、
それが神話や宗教として、心の中に現れてくる。

それが、何かのイメージとして意識されると、
踊りとして、あるいは彫像や絵画として表現される。
あるいはまた、その神殿での誓いや祈りの儀式となる。
そして、神話はやがて物語として言い伝えられる。
そしてそれが、歴史として記録されてゆくのは、
ずっと後のことである。

共有意識とは、
現実の自分と対立する、観念的な自己の精神である。
自己の精神というのが、
個人的なものと、社会的なものに分裂したのである。
事実、それは原始宗教とか、
神話の伝承として伝えられている。
それは、祈りと恐れの世界であると共に、
神々(又は悪霊)の世界である。
 
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