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index(索引)concept(概念)ルネサンスへ2014-1123 宿命-2。

   2、届かないもの。



ちょうど、男と女がひかれあうように、
なにかを、自分にはないもの、欠けているもの、
届かないものを、心の中のどこかで願い続けている。
心のなかのどこかかたすみで、
ぽっかりと開いてしまった、とりかえしのつかない、
裂け目が見えてくるのである。
なにかが欠けている。
それは精神の調和というもで、自分自身のなかに、
もともとあったものなのかもしれない。
それを失くしている。見当たらない、
ぽっかりと開いた底なしの空洞のうように。

ちょうど暗い闇の世界から、
光かがやく天上の世界を見上げたとき、
一瞬、なにも見えなくなることがあるが、
そうした瞬間である。その瞬間、
なにか別のものを見ているのである。
闇でも光でもなく、現実にはない、
何か別のものを見ているのである。

その瞬間はめまいがしていて、
何も見えていないはずなのであるが、
瞬間的に、ほんのまばたきするくらいの瞬間に、
何か別の世界、自分が生きている現実にも、
日常の世界にもない、それとはなにか別の、
世界を見ているのである。

もちろん、それがなんなのか、
自分でもわからないのであるが、
それはもしかすると、
自分自身を見ているのだと思えてくる。
現実でも、かといって頭の中だけの、
意識の世界でもなくて、
それらとは、別の世界を見ている。

 戻る。                      お終い。


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