様式、５：年中行事。

例えば、日本的な「潔(ｲｻｷﾞﾖ)さ」という気質は、
地震、台風、そして火災に対して燃えやすい、
密集した家屋の構造と深く関係している。
そうした、預かり知らぬ突発的で壊滅的な脅威が、
年中行事のように毎年やってくる。

それは、人間の力ではどうにもならない、自然の猛威であって、
それに対しては、人間はなすすべもなく、
なされるがままなのであるが、そうした、
ゼロの状態から抜け出すためには、だれもがみな、
過去のいさかいや、いいがかりや因縁を捨てて、
だれもが同じ、ゼロから始めるしかないのであって、
これが、「潔(ｲｻｷﾞﾖ)い」という気質である。
そうするしかないのである。

このような、はかり知れない天変地異の災難に際しても、
秩序整然としている。外国人から見ると、
実に不思議な光景なのだそうだが、こうした事態、
こうした災難は、日本ではほとんど年中行事なのである。
それは、秩序正しく落ち着いているというよりも、
慣れきっているのである。すべてをあきらめて、心を無にして、
いさぎよく、整然と次の作業に進むのである。
そうするしかないのである。昔からそうなのである。
そうやって、数千数万年生きてきたのである。