(  市)ルネサンスへ<2015-0703-b 何を見ている?



2:思い込み。


だがしかし、これが「夢の中」だとすれば、話はまったく違ってくる。
肉体は眠っていて、意識だけが活発に活動している状態である。
意識は、自分が肉体から分離してしまったと思い込んで、
様々なものに乗り移る。

自分自身が風景の背景になっていたり、
目の前のウサギや犬になっていたり、
その周りを包んでいる空気になっていたりもする。
あるいはまた、夢の中で話をしている相手が、
いつのまにか自分に変わっていたりもするのである。

要するに、自分と他人との区別がなくなる。
自分というのが誰にでもなれるし、何にでもなれる。
そしてまた、そうやって、自分が誰なのかわからなくなるのである。
それはつまり、夢の中というのは、自分の思い込みという、
主観だけが支配する世界なのである。

だからまた、本当の自分、真実の自分というのは、
自分の外の、現実の世界に求めなければならないのである。
だから、自分というのは、外の世界に出てゆくしかなく、
自分の外へと追い出されてゆくのである。
そうして初めて、現実の自分というのが見えてくるのである。
本当の自分というのは、他人の目を通してしか、
見えてこないのである。

しかし、そうは言っても、こうした考えは、「考え」なのであって、
現実は少し異なる。人間の脳ミソの中、観念の世界と、
実際の現実とは少し異なるのである。現実は言葉ではなくて、
感覚である。観念ではなくて、行為なのである。

 戻る。               続く。
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