(  市)ルネサンスへ<2015-0710 (怪談) 目の中、



3:おののき。


以上が、目を閉じたときに見えてくる、
観念的なイメージの世界である。
目を閉じているとき、実際には、
はっきりと見えていないにもかかわらず、空想の世界で、
なにかのイメージとして思い込んで見ているのである。

あるいは何かを感じて、そのように思い込んでいるのである。
そうではないか、そうであるはずとか、そうかも知れない、
それしかない、そうでなければならない・・・・・等々と、
勝手に思い込んでいるのである。

そうしたことは、くらがりや、ものかげや、
夜の薄暗い月明かりの下や、ぼんやりした、
とりとめのない観念の世界で、意識が勝手にイメージして、
思い込み、見ているのである。

しかし、幻覚とも違う。意識の世界の中で、
いままで自分が生きてきて、経験し、
記憶してきたものが、直感として思いだされ、
呼び覚まされ、なにかのそれらしき記憶のカケラ、
断片として、思い出されてくるのである。

そして、もちろん、それが何かというのが、
自分でも全くわからないのである。それでも、
それが何かとっても大事なことのように思えてきて、
それらしき影や、気配におびえ、恐れ、おののき、
困惑し、そして、意識がそれに過大に反応してしまうのである。
そうしたことが、自分自身の観念の世界のなかで、
無限に拡大・拡張されて、見てしまうのである。

 戻る。               続く。
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