(  市)ルネサンスへ<2015-0710 (怪談) 目の中、



5:根源。


それはまた、別の側面から見ると、
見失われた民族の、忘れられた記憶の
世界を見ているのである。目に見える、
現実のカタチとかイメージではなくて、
自分自身のカラダのなかで感じられる、
生理的、情緒的な特性として、それが、
意識されるのである。そしてそれが、誰かの人影や、
その気配として感じられるのである。

それを、象徴し印象する幻のようなイメージとして、
それが意識され、せまってくるのである。
何もないところに、何かあるように思えて来て、
そうした気配を感じてしまうのである。
象徴とは、このことなのである。象徴とは、
それを透して何かを予感し、印象し、暗示し、
そして導き、示唆しているのである。

それは、自分でも理解できない、不可解で、
訳のわからないイメージ。もしくは、
自分に付きまとう誰かの影、気配なのである。
それは、自分の中にあって、自分を支配している感情とか、
情緒がイメージ化されたのであって、何かの実際の、
現実のすがたがイメージ化されたのではないのである。

だから、何もないところに、何かあるように思えてくるのである。
と同時に、それに気づかなければならないのである。
それこそが、自分自身の感覚なのだから。
自分にしかない、自分の根源だからである。
それは、自分自身のすがたなのだから。

 戻る。               続く。
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