(  市)ルネサンスへ<2015-0724-a



4:喪失。


なにげない日々の暮らしの中で生きている、
習慣や常識。そしてまた自分自身の生き方といったもの。
フツーの当り前のこと。そうしたことが現実の中で死んでしまった。
本来、自分自身の中の問いかけとしてあったものが、
ただひたすら、外から強制されるだけのものになってしまった。

そしてこうした状態を当然のこととして
だれも疑いをいだかなくなってしまった。
自分自身というのが見失われている。
知る必要のないものとなっている。
自分自身の存在理由を喪失している。
なにか、もっとも大切なものが、失われてしまった。

アイドルの女子に見る、
なにかそうした言い知れぬ違和感、
不思議で不可解な世界。あるいは日々、
当たり前の出来事として通り過ぎてゆく、
なにげない暮らしのなかで垣間見る、なにか、
ズレた、ヌケたような違和感。カタチだけあって、
中身はいつもカラッポという、まのヌケた感じ。

まるで、空洞のスイカ、閉じたカラッポの弁当箱。
まるで、夢のなかを生きている感じ。現実が、
映画館で見るスクリーンの世界のように、
自分とは別世界のように思えて来るのである。

外面のカタチだけがあって、
その中身というのがいつもヌケている状態。
そうしたことが、アイドルの女子に見る、
なにかいい知れぬ違和感の正体ではないだろうか。

現実が、不可解であり得ない、
他人の夢の世界のように思えてくるのである。

 戻る。              続く。
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